世界三大レザーのひとつイタリアのヌメ革。イギリスのブライドルレザー、アメリカのコードバンと並び、世界で愛されているレザーです。今回は日本に入ってきているメジャーなイタリアンレザーをすべて紹介していきます。それぞれの特長と経年変化(エイジング)について解説していくので、選ぶ際の参考にしてみてください。
イタリアンレザーとは?
イタリア・トスカーナ地方伝統の植物タンニン鞣しのバケッタ製法 で作られているのがイタリアンレザーです。同じバケッタ製法を採用している革でも、原皮の種類や加工の仕方によって様々なイタリアンレザーがあります。
イタリアンレザーの特長
ミネルバボックス、ブエブロレザー、ブッティーロレザーなどがイタリアを代表するレザーです。イタリアンレザーには基本的に以下の特長があります。
●植物タンニン鞣しというイタリア伝統の製法で作られた革
●経年変化(エイジング)が楽しめる革が多い
●それぞれのイタリアンレザーに個性がある
ここから、それぞれのイタリアンレザーの特長を紹介していきます。
ミネルバボックス Minerva Box

1967年にイタリアのフィレンツェで創業されたタンナー“バダラッシィ・カルロ社”が製造しているイタリアンレザーのヌメ革。トスカーナ地方伝統の植物タンニン鞣しのバケッタ製法で作られています。
ミネルバボックスの特長
・エイジングの進みが早く、使えば使うほどに馴染んでいく
・とても柔らかく、しなやかな手触り
・革にオイルがたっぷり染み込んでいるのでメンテナンスが不要
ミネルバボックスの経年変化(エイジング)

ミネルバボックスを使用したガンゾ(GANZO)のメンズ財布


ミネルバボックスを使用したSotのメンズ財布

ミネルバボックスを使用したMens Leather Storeのメンズ財布

プエブロレザー Pueblo Leather

イタリアの名門タンナー“バダラッシィ・カルロ社”により、生後2年以上の雌牛の原皮を使用し、バケッタ製法で作られているイタリアンレザー。表面を毛羽立たせる加工を施しているため、最初は和紙のような風合いとザラザラした肌触りです。ただ、使用していくにつれて内側からオイルが馴染んできて、3ヵ月もすると起毛部分が寝てきてツルツルの表面へと変化します。経年変化(エイジング)が分かりやすく感じられるイタリアンレザーとして人気があります。
プエブロレザーの特長
・ザラザラとした表面で、細かな傷が入っているように見える
・経年変化(エイジング)が非常にきれいに現れる
・革に天然オイルをたっぷりと浸透させているので、革から香ばしい香りが漂う
プエブロレザーの経年変化(エイジング)

プエブロレザーを使用したSotのメンズ財布


プエブロレザーを使用したMens Leather Storeのメンズ財布

マットーネ Mattone

イタリアのタンナー“バダラッシ・カルロ社”がバケッタ製法で作っている革。使い込めば使い込むほど革らしい経年変化(エイジング)が現れます。
マットーネの特長
・革本来の表情と独自の光沢感を併せ持つイタリアンレザー
・革にたっぷりとオイルが染み込んでいるので、メンテナンスが比較的楽
・使い込んでいくと独特の光沢が出てきて、色の深みが増していく
マットーネの経年変化(エイジング)

マットーネを使用しているメンズ財布

ナポレオンカーフ Napoleon Calf

日本での流通量が少ない希少価値の高いイタリア産最高級オイルドヌバック。サンドペーパーで吟すり加工がされているため、革が起毛していて独特の質感になっています。ヌメ革をしのぐ経年変化(エイジング)をすることでも知られていて、半年使うと大きく色が変化し、2~3年経つと濃い黒色がかったアンティーク感のある色合いへと変化していきます。
ナポレオンカーフの特長
・革本来の香りの良さとこれぞ“本革”という質感
・他の革では感じたことがないような手に吸い付くような質感
・3ヵ月、半年で他の革の5年、10年分の経年変化が見られる
ナポレオンカーフの経年変化(エイジング)

ナポレオンカーフを使用しているメンズ財布

パティーナ Parinat

植物から抽出したタンニンのみで革を鞣しオイルを加えたベジタブルタンニンレザー。革についた傷やシワ、血管や毛穴のあとなどが残っているため革本来の表情が感じられます。
パティーナの特長
・繊維の目が詰まっているために非常に丈夫な皮革
・使い込むほど柔らかく、ツヤが出て色味も深みを増す
・使用するごとに味が出てくるので長い期間に渡ってエイジングを楽しめる
パティーナの経年変化(エイジング)

パティーナを使用しているメンズ財布


ブッテーロレザー Buttero Leather

イタリアのトスカーナ州フィレンツェにある老舗タンナー“ワルピエ社”が伝統的な技法を用いて時間をかけてじっくりと作り上げているヌメ革の最高峰がブッテーロレザー。
ブッテーロレザーの特長
・血筋の痕跡や放牧時についた傷などが革の表面に残っている自然な風合いの革
・時間をかけてオイルを革に加えているため、繊維密度が高くコシが強い
・使い込むことでしっくり手に馴染み、ツヤ感も増していく
Sotのブッテーロレザーのメンズ財布を見る


abrAsus(アブラサス)のブッテーロレザーのメンズ財布を見る

マルティーニ Martini
イタリアの老舗タンナー“バダラッシ・カルロ社”の伝統製法によって生まれた革。適度なシボ感と手に馴染む質感の良さが特徴のイタリアンレザー。
マルティーニの特長
・最高級のオイルドレザーを使っているので手にしっとりと馴染む
・経年変化(エイジング)したあとの美しさまで考えられている素材
・クッタリとした風合いながら、品があり飽きのこない表情を持っている
マルティーニを使用しているメンズ財布

ミネルバリスシオ Minerva Liscio
イタリアを代表するタンナー“バダラッシィ・カルロ社”が作り出しているイタリアンレザー。ミネルバボックスがシュリンク加工(表面にシボを出す工法)で仕上げるのに対し、ミネルバリスシオは革の表面がなめらかなスムースレザー仕上げになっています。
ミネルバリスシオの特長
・銀面が滑らかで皺の少ないスムースなレザー
・経年変化(エイジング)の進みが早い
・植物鞣し特有の温かみと透明感を感じられる
ミネルバリスシオを使用したMens Leather Storeのメンズ財布

ブリランテ Brillante
イタリアのトスカーナ州カステルフランコディ・ソットのタンナー”cuoificio M.P.G社”で作られているオリジナルレザー。職人がイタリアの色彩センスで染色を手作業で施しています。
ブリランテの特長
・滑らかさと適度なコシのバランスが良いイタリアンレザー
・繊維の奥底までにオイルが染み込んでいるので使い込むほどに表面に自然な輝きが生まれる
・経年変化(エイジング)による色合いの変化が大きくないので上品な印象のまま使える
ブリランテ を使用しているメンズ財布

マレンマ Marremma
マレンマは“ワルピエ社”を代表するオイルレザー「ブッテーロ」の2倍以上のオイルを含ませて作られているプルアップオイルレザー。オイルを濃密に含んでいるため、湿ったような艶やかな風合いがあります。
マレンマの特長
・革の繊維が緻密でハリもあるので手にしっかりと馴染む
・じっくりと革を染料で染め上げているので色合いが美しい
・革に含まれているオイルが濃いので使い込むほどにツヤが出る
マレンマを使用しているメンズ財布

マレンマを使用しているm+(エムピウ)のメンズ財布

アドリアレザー Adria Leather
1958に創業したイタリアを代表するタンナー“マスロット社”が作り出しているシュリンクの型押し牛革。革の色彩が美しく、イタリアらしい上品さが感じられます。
アドリアレザーの特長
・ほどよい柔らかさと適度なハリ感があり、上品な色合い
・シュリンク型押しされているので小さなキズは目立たない
・色合いは経年変化(エイジング)で大きく変色することはない
アドレアレザーを使用しているメンズ財布

パルマ ベビーカーフ Parma Baby Calf
斜塔で有名なイタリア・トスカーナ州のピサにある名門タンナー“インカス社”が、生後3ヵ月以内の仔牛を原皮として作っているイタリアンレザー。伝統的なベジタブルタンニン鞣しとバーニッシュ仕上げをしているので、しなやかで柔らかな質感とツヤのある美しい光沢の表面に仕上がっています。
パルマ ベビーカーフの特長
・生後3ヵ月以内の仔牛の皮から作られているため革の内側がきめ細かい表情を持っている
・美しい光沢とやわらかな質感なので、手に馴染みやすく映える
・使い込むほど革に立体感が現れてくるので経年変化(エイジング)を楽しめる
パルマ ベビーカーフを使用しているメンズ財布

ニューヨーク New York
1963年にイタリアで設立された植物性鞣し牛革を専門に製造している“MPG社”が作るイタリアンレザー。「ニューヨーク」という名前の革なので、アメリカの革と勘違いされることもありそうです。
ニューヨークの特長
・程よいしなやかさを持つ高級皮革で味のある経年変化を楽しめる
・オイルをたっぷりと含んでいるため使い込むほどにツヤが出てくる
・染色される色彩によって革表面のシボ感に個体差が出てくるのも魅力
ニューヨークを使用しているメンズ財布

ベルーガ Beluga
1970年代半ばにイタリアのトスカーナ州ポンテ・ア・エゴラで創立した名門タンナー“コンチェリア・オットチェント社”を代表するイタリアンレザー。トスカーナ地方伝統のバケッタ製法で鞣された革に型押しのシボ加工が施されています。
ベルーガの特長
・型押しのシボ加工なので、表面の凹凸が規則正しく美しい
・高純度のオイルを時間かけて加えているのでメンテナンスが手軽
・シボ加工がされているので長年使っていてもキズが目立ちにくい
ベルーガを使用しているメンズ財布

アルバラックス Albalux
イタリアのタンナー”YANKEE社”が製造しているベジタブルタンニンレザー。動物の皮革のきめを革の表面に保持しているフルグレインレザーなので、革の表情に温かみが感じられます。
アルバラックスの特長
・イタリアの伝統的な製法で生み出される上質なレザー
・染料がよく染み込む素材なので発色が美しく艶がある
・植物鞣し(ベジタブルタンニン)を施したレザーなので環境に優しい
アルバラックスを使用しているメンズ財布

まとめ
経年変化(エイジング)を味わうことができる人気のイタリアンレザーを紹介してきました。ヌメ革特有の風合いがあるので、ブライドルレザーやコードバンとは違った質感・味わいがあります。気になるイタリアンレザーがあればチェックしてみてください。
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