「革のダイヤモンド」「革の宝石」などと呼ばれ、希少な革の代表格とされているコードバン。ただ、楽天市場やAmazonでコードバンの財布を検索してみると、1万円台の二つ折り財布・長財布も多く見つけることができます。
「コードバンの財布が1万円台で購入できるのってどういうこと?」とちょっと革に興味がある方であれば疑問に思うかもしれません。そこで今回は、コードバンの財布を激安で買える理由について深堀していきます。
そして、安いコードバンの財布を購入するのがおすすめできない理由も紹介していきます。まずは、コードバン財布の価格帯の幅が広い理由について解説していきます。
コードバン財布は価格の幅が広い
コードバンの財布は1万円台から20万円台までと価格帯の幅が非常に広くなっています。同じコードバンでも財布によって価格が大きく異なるのは、コードバンのタンナーと仕上げが違うからです。ひとつひとつ解説していきます。
タンナーによってコードバンの価格が変わる

コードバンのタンナーとして有名なのが米国シカゴの「ホーウィン社」と日本の姫路にある「新喜皮革」です。
コードバンの中でもホーウィン社のシェルコードバンが最高級品だとされています。新喜皮革社はホーウィン社と双璧を成すタンナーと評価されていて、新喜皮革のコードバンも世界中で高く評価されています。
ホーウィン社と新喜皮革社以外にも、イタリアの「ロカド社」、日本の「宮内産業」などがあります。
タンナーによる価格帯の違い
日本で流通している宮内産業・新喜皮革・ホーウィン社のコードバン財布の価格帯の目安を紹介します。
・宮内産業 二つ折り財布 14,000円~ 長財布 16,000円~
・新喜皮革 二つ折り財布 31,000円~ 長財布 37,000円~
・ホーウィン 二つ折り財布 75,000円~ 長財布 98,000円~
仕上げによってコードバンの価格が変わる
コードバンには主に「顔料仕上げ」「染料仕上げ」「オイル仕上げ」と3つのタイプの仕上げ方があります。どの仕上げ方が採用されているかでも価格が変わってきます。
それぞれの仕上げ方について詳しく解説していきます。
顔料仕上げ
顔料仕上げは日本独自のコードバンの仕上げ方です。顔料仕上げのコードバンは高級なランドセルの素材として使われています。
顔料仕上げのコードバンは革の表面に顔料を載せて色付けしているので、水分への耐久性が強いという特徴があります。
革の繊維がむき出しになっているオイル仕上げのコードバンだと、水分が革に付くと水ぶくれを起こし、染み跡が残ってしまいます。
顔料仕上げのコードバンだと、水ぶくれが起きたり、染みができてしまうという心配がなくなります。顔料仕上げのコードバンの財布は、水に濡れてしまうことを心配せずに使えるという魅力はあります。
ただし、革の表面に顔料が載っているため、革本来の風合いなどは感じることができません。エイジングが楽しめる革でもありません。使い込んでいくうちに多少の艶が出ることがありますが、それはコードバンの艶ではなく顔料の表面が研磨されることで表れた艶です。
染料仕上げ
染料仕上げには幾つかの種類があり、「水染め」や「アニリン染め」が代表的なものになります。
染料仕上げのコードバンには革本来の風合いが残りつつ、強い光沢と透明感が現れるのが魅力です。また、エイジングによって革の表情の変化を味わえます。
長年使用してもハリやコシが持続するので、品質の高い財布を長く使い続けたいという方には向いています。
オイル仕上げ
「オイルコードバン」、海外では「シェルコードバン」とも呼ばれるのがオイル仕上げのコードバンです。革の内部にオイルを浸透させていくことで、折り曲げに対する耐久性が高まります。
ガラスなどで革の表面を磨く「グレージング」を施すことで、革の表面に生まれる艶や光沢感が最大の魅力です。
オイル仕上げのコードバンは水や汗に弱い、傷がつきやすいといったデメリットがあります。革の表面が非常にスムースで光沢感があるがゆえの弱点といえます。
仕上げによる価格帯の違い
顔料仕上げ・染料仕上げ・オイル仕上げの価格の目安を紹介します。対象は、宮内産業・新喜皮革・ホーウィン社のコードバンの財布を対象です。
・顔料仕上げ 二つ折り財布 14,000円~ 長財布 16,000円~
・染料仕上げ 二つ折り財布 41,000円~ 長財布 43,000円~
・オイル仕上げ 二つ折り財布 31,000円~ 長財布 37,000円~
コードバン財布を価格だけで選ぶのは危険
宮内産業の顔料仕上げのコードバン財布であれば、予算2万円である程度の種類の中から財布を選ぶことが可能です。ただ、顔料仕上げの特徴を把握したうえで購入するようにしましょう。
顔料仕上げは、革の表面に顔料を載せているので革本来の光沢感や艶は感じられません。光沢感や艶感は顔料によるものです。
購入したあとに「コードバンだけど、思っていたのと違う」なんてことになりかねません。顔料仕上げのコードバンを購入した人の声を幾つか紹介します。
オイル仕上げでも染料仕上げでもなく顔料仕上げです。表面に樹脂コーディングがされています。コードバンの良さが全く感じられずビニール感が凄いです。
出典:楽天市場
コードバンには違いないけど、表面をペンキで塗ったような顔料仕上げの質感と樹脂厚塗りのコバが安っぽい。大人が人前で使うには少々恥ずかしいかな…。
出典:楽天市場
顔料仕上げのコードバン財布は、人によってはテカテカしているだけの安っぽい財布に見えてしまうこともあるようです。
ネットショッピングだと革の質感や光沢感の見え方が直に見るのとは異なるので注意が必要です。可能なら、実物を見てから購入したほうが「こんなはずなかったのに…」ということを避けられるでしょう。
コスパの良いおすすめのコードバン財布
コードバンの財布を選ぶ際には、どこのタンナーのコードバンを使っていて、どんな方法で仕上げられたコードバンなのかを確認した上で購入するのがおすすめです。
ホーウィンのシェルコードバンや新喜皮革のコードバンはブランド化されているので、財布にロゴが刻印されています。
・ホーウィン社のシェルコードバン

・新喜皮革のコードバン

こうしたタンナーのロゴが刻印されている財布は、コードバンの品質も高いです。価格は高くはなりますが、「革のダイヤモンド」と言われている意味が分かる財布を手に入れることができるでしょう。
コスパの良いおすすめの財布
新喜皮革のコードバンを使用している財布でおすすめなのは、キプリスの「コードバン&シラサギレザー」シリーズです。新喜皮革のブランドロゴは刻印されてはいませんが、公式サイトに新喜皮革のコードバンを使用しているシリーズとして明記されています。
「コードバン&シラサギレザー」は、革にタンニンなめしを施してから、革の表面をガラスで磨き上げるグレージング加工を施し、強い光沢を持つように仕上げたコードバンを使用しています。
このシリーズの二つ折り財布は30,800円、長財布は39,600円で購入できます。
ホーウィン社のコードバンを使用している財布でおすすめなのは、ガンゾの「シェルコードバン2」シリーズです。すべての財布にホーウィン社のシェルコードバンを使用していることを示す刻印がされています。
「シェルコードバン2」は、ホーウィン社のシェルコードバンを、内装にまで使用している贅沢なシリーズ。やわらかな光沢と質感があり、色艶の変化を存分に味わえる究極の逸品です。
このシリーズの二つ折り財布は74,800円、長財布は102,300円で購入できます。
まとめ
「革のダイヤモンド」と呼ばれるコードバンの財布の価格に幅があるのはなぜか、安いコードバンの財布がおすすめできないのはなぜかというポイントでこの記事を書きました。本物のコードバンの良さを味わいたいのであれば、染料仕上げかオイル仕上げのものを選ぶことをおすすめします。
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